この記事の要点
ゼンハイザーの新フラッグシップ完全ワイヤレス「MOMENTUM True Wireless 5」を解説。Bluetooth 6.0、aptX Lossless、Dolby Atmos対応、本体最大12時間・ケース込み最大40時間、IP54、バッテリー交換対応など、前作TW4との違いを比較表で整理します。
- ANCオフでの連続再生が12時間に伸びた
- ケースが11.4g軽くなった
- バッテリー交換に対応し、長期利用の見通しが立つ
はじめに
MOMENTUM True Wireless 5は、ゼンハイザーが2026年8月20日に発表した完全ワイヤレスイヤホンのフラッグシップモデルで、9月3日発売、市場想定価格は49,940円(税込)です。同社の7mm TrueResponseダイナミックドライバーを継承しつつ、Bluetooth 6.0への対応、Dolby Atmosの搭載、そしてユーザー自身によるバッテリー交換への対応といった、前作とは方向性の異なる更新が入っています。
前作MOMENTUM True Wireless 4(以下、TW4)からの主な変更点は、再生時間の伸長(ANCオフで7.5時間→12時間、ケース込み30時間→40時間)、Bluetooth 5.4から6.0への刷新、Dolby Atmos対応の追加、そして充電ケースの軽量化です。一方で、ANCオン時の再生時間や対応コーデックの構成には、単純な上位互換とは言い切れない差もあります。
本記事は執筆時点(2026年8月31日、発売3日前)で公開されているゼンハイザー公式製品ページとオーディオ専門メディアの発表記事をもとにしています。実機の音質やANCの効きを筆者が計測したものではないため、公表スペックから読み取れる範囲と、まだ判断できない範囲を分けて解説します。
基本スペック
| 項目 | スペック |
|---|---|
| 製品名 | MOMENTUM True Wireless 5 |
| 発売日 | 2026年9月3日(予約開始 2026年8月20日) |
| 市場想定価格 | 49,940円(税込) |
| ドライバー | TrueResponse ダイナミック型 7mm |
| Bluetooth | Bluetooth 6.0 準拠 / クラス1 |
| 対応コーデック | SBC / AAC / aptX / aptX Adaptive / aptX Lossless |
| ノイズキャンセリング | ハイブリッド・アダプティブANC |
| 空間オーディオ | Dolby Atmos 対応 |
| 再生時間(本体) | 最大12時間(ANCオフ)/ 最大6時間(ANCオン) |
| 再生時間(ケース込み) | 最大40時間 |
| 充電 | USB-C / Qiワイヤレス充電(バージョン2.1) |
| 充電時間 | 約1.5時間でフル充電、8分の充電で約1時間再生 |
| 防塵防滴 | IP54(イヤホンのみ) |
| 重量 | 片耳7g / 両耳合計62g / ケース55g |
| カラー | グラファイト、クリーム(公式ストアではデニム、ラベンダーの記載あり。展開色は販売チャネルや地域により異なります) |
| マルチポイント接続 | 対応(2台同時接続) |
| バッテリー交換 | ユーザー自身で交換可能 |
| イコライザー | 8バンドEQ |
| 通話・その他 | 骨伝導センサー、AI音声分離、アダプティブ・アンチウィンド、ナチュラル・トランスペアレンシー |
前作との比較
| 項目 | MOMENTUM True Wireless 5 | MOMENTUM True Wireless 4 |
|---|---|---|
| ドライバー | TrueResponse ダイナミック型 7mm | TrueResponse ダイナミック型 7mm |
| Bluetooth | 6.0 準拠 | 5.4 準拠 |
| 対応コーデック | SBC / AAC / aptX / aptX Adaptive / aptX Lossless | SBC / AAC / aptX / aptX Adaptive / aptX Lossless / LC3 |
| 空間オーディオ | Dolby Atmos 対応 | 公式スペックに記載なし |
| 再生時間(本体・ANCオフ) | 最大12時間 | 7.5時間 |
| 再生時間(本体・ANCオン) | 最大6時間 | 7.0時間 |
| 再生時間(ケース込み) | 最大40時間 | 最大30時間 |
| 防塵防滴 | IP54(イヤホンのみ) | IP54(イヤホンのみ) |
| 重量(片耳) | 7g | 6.2g |
| 重量(ケース) | 55g | 66.4g |
| バッテリー交換 | ユーザー自身で交換可能 | 公式スペックに記載なし |
| 市場想定価格 | 49,940円(税込) | 47,440円(税込) |
最も大きな変化は、ANCオフ時の再生時間が7.5時間から12時間へ伸びたこと、ケース込みの総再生時間が30時間から40時間になったこと、そしてユーザー自身によるバッテリー交換に対応したことの3点です。加えて、Dolby Atmos対応の追加とBluetooth 6.0への刷新が、機能面での更新にあたります。
ただし表を見て分かるとおり、ANCオン時に限れば7.0時間から6時間へと公称値が下がっています。ANCを常用する人にとってはスタミナが増えたと単純には言えず、どの状態で使うかによって評価が変わる構成です。また前作のスペック表にあったLC3が、本機の公式スペック表には記載されていません。LC3経由での接続を前提にしている環境では、事前の確認が必要です。
主な特徴
7mm TrueResponseドライバーを継続採用
ドライバーは前作から引き続き、ゼンハイザー自社開発の7mm TrueResponseダイナミック型です。世代交代でドライバー構成を刷新するメーカーが多いなか、本機は振動板のサイズと方式を据え置き、周辺の処理と機能で差を付ける設計になっています。
このため、音の傾向を大きく作り替えるモデルチェンジというよりは、既存のMOMENTUMサウンドを土台にして使い勝手を積み増した製品と読み取るのが実態に近い構成です。前作の音が好きだった人にとっては、方向性が急に変わるリスクが小さい選択肢といえます。
aptX Lossless までカバーするコーデック構成
対応コーデックはSBC、AAC、aptX、aptX Adaptive、そしてaptX Losslessです。aptX Losslessは対応するスマートフォンとの組み合わせでCD品質相当のロスレス伝送を狙う規格で、完全ワイヤレスで対応する製品はまだ限られています。
ただしこれはイヤホン側だけで完結する機能ではなく、送出側のスマートフォンがaptX Losslessに対応している必要があります。iPhoneではAAC接続になるため、この項目を購入理由の中心に据える場合は、手持ちの端末の対応状況を先に確認しておくのが確実です。同じくaptX系を重視する構成としてはSony WF-1000XM6などとも比較検討の余地があります。
ハイブリッド・アダプティブANCとナチュラル・トランスペアレンシー
ノイズキャンセリングはフィードフォワードとフィードバックを組み合わせたハイブリッド方式で、周囲の環境に応じて効き方を調整するアダプティブ制御が入ります。外音取り込みは「ナチュラル・トランスペアレンシー」と呼ばれ、耳を塞いだ状態でも自然な聞こえ方を目指した処理が入る仕様です。
なお、ANCの遮音量を数値で比較できる公表データは発表時点では出ていません。効きの程度については、発売後の実機レビューや店頭試聴で確認するのが妥当です。
Dolby Atmos 対応の追加
本機ではDolby Atmosに対応し、対応コンテンツで立体的な音場再生を行えます。前作MOMENTUM True Wireless 4の公式スペック表にはDolby Atmosの記載がないため、これは世代間で明確に増えた機能です。
映画やライブ映像など、空間オーディオを前提に制作されたコンテンツを視聴する機会が多い人にとっては、実用的な追加といえます。一方で音楽ストリーミングでの効果は、聴くサービスと楽曲の対応状況に左右されます。
骨伝導センサーとAI音声分離による通話処理
通話まわりでは、骨伝導センサーで装着者自身の発声を検出し、AI音声分離によって話者の声と周囲の騒音を切り分ける処理が入ります。加えて「アダプティブ・アンチウィンド」により、屋外での風切り音を抑える制御も搭載されています。
屋外や移動中の通話が多い用途では、この構成が効いてくる部分です。ただし通話品質は接続先の端末やアプリ、通信環境にも左右されるため、スペック上の機能名だけで結果が決まるものではありません。
ユーザー自身で交換できるバッテリー
本機は、標準的な工具を使ってユーザー自身がバッテリーを交換できる設計になっています。完全ワイヤレスイヤホンはバッテリーの劣化が製品寿命に直結しやすいカテゴリであり、交換手段が用意されていること自体が、他社製品にはあまり見られない構成です。
前作の公式スペック表にはこの記載がないため、長く使う前提で製品を選びたい人にとっては、世代間で意味のある差になり得るポイントです。
マルチポイント接続と8バンドEQ
Bluetoothマルチポイントに対応し、2台の機器へ同時接続できます。PCで作業しながらスマートフォンの着信を受けるといった使い方で、その都度つなぎ替える手間が減る機能です。
またSmart Control Plusアプリから8バンドのグラフィックイコライザーを使え、サウンドパーソナライゼーション機能で聴こえ方を調整できます。装着状態やイヤーピースの選択で音の印象が変わりやすいカナル型では、実用的な調整手段です。
メリット
ANCオフでの連続再生が12時間に伸びた
本体単体でANCオフ最大12時間という公称値は、前作の7.5時間から大きく伸びています。ケース込みでも30時間から40時間になっており、充電の頻度を減らしたい人には分かりやすい改善です。
静かなオフィスや自宅ではANCをオフにして使う、という運用ができる人ほど、この伸びの恩恵を受けやすい構成といえます。
ケースが11.4g軽くなった
充電ケースの重量は66.4gから55gへと軽くなりました。イヤホン本体は片耳6.2gから7gへ0.8g増えているため、両耳とケースを合わせた携行重量で見ると差し引きで軽くなる計算です。
ポケットに入れて持ち歩く時間が長い人にとって、ケース側の軽量化は日常的に体感しやすい部分です。
バッテリー交換に対応し、長期利用の見通しが立つ
完全ワイヤレスイヤホンは、数年使うとバッテリーが劣化して再生時間が短くなるのが一般的です。本機はユーザー自身での交換に対応しているため、本体を丸ごと買い替えずに使い続けられる可能性があります。
5万円前後という価格帯の製品では、この点が長期的なコスト評価に効いてきます。同価格帯のBose QuietComfort Ultra Earbuds 第2世代などと比較する際にも、購入後の維持のしやすさという観点は判断材料になります。
aptX Lossless対応で高音質伝送の選択肢がある
送出側の対応が前提ではあるものの、aptX Losslessまでカバーするイヤホンは完全ワイヤレスではまだ多くありません。Android系の対応端末を使っていて、伝送段での劣化を減らしたい人にとっては、選択肢が限られる中の一つになります。
Dolby Atmos対応が世代間で追加された
前作にはなかったDolby Atmos対応が加わり、映像コンテンツでの空間表現に対応しました。イヤホン単体で完結する話ではありませんが、対応コンテンツを日常的に見る人には実用的な追加です。
IP54の防塵防滴を維持している
イヤホン側はIP54の防塵防滴に対応します。前作と同等の水準ですが、汗や小雨といった日常的な条件をカバーできるため、通勤や屋外での使用でも過度に気を使わずに済みます。
2台同時接続と細かい音質調整に対応
マルチポイントによる2台同時接続と、アプリ側の8バンドEQ・サウンドパーソナライゼーションを併用できます。仕事とプライベートで機器を使い分ける人や、自分の耳に合わせて音を追い込みたい人には扱いやすい構成です。
デメリット
ANCオン時の公称再生時間は前作より短い
本機のANCオン時の再生時間は最大6時間で、前作の7.0時間より公称値が下がっています。ANCを常時オンで使う人にとっては、スタミナ面で前作から改善したとは言えない構成です。
ケース込みの総再生時間は40時間に伸びているため、こまめにケースへ戻す運用であれば実用上の不便は小さいと考えられます。ただし、1回の外出でANCオンのまま長時間使いたい用途では、事前に想定しておく必要があります。
公式スペック表にLC3の記載がない
前作のスペック表に含まれていたLC3が、本機の公式スペック表には記載されていません。LE Audio環境での運用を前提にしている場合、この差は無視できません。
発売後にファームウェアやアプリ側で扱いが変わる可能性は否定できませんが、現時点で公表されている情報から判断する限り、コーデック構成は単純な上位互換ではありません。LC3が要件に含まれる場合は、購入前に販売店やメーカーへ確認するのが確実です。
価格が49,940円と高い
市場想定価格は49,940円(税込)で、前作の47,440円から2,500円上がっています。完全ワイヤレスイヤホンとしては上位の価格帯であり、3万円台の有力な選択肢も多いカテゴリです。
Bluetooth 6.0対応、Dolby Atmos、バッテリー交換対応といった要素に価値を見出せるかどうかが、購入判断の分かれ目になります。機能の量で選ぶなら、スマートケースを備えるJBL Tour Pro 3のような構成の異なる製品も並べて検討する余地があります。
本体が片耳0.8g重くなった
イヤホン本体は片耳6.2gから7gへ重くなっています。数値としては小さい差ですが、カナル型では装着安定性に影響しやすい部分で、耳の形状によっては長時間装着時の感じ方が変わる可能性があります。
装着感は個人差が大きいため、可能であれば店頭で試着してから判断するのが確実です。耳を塞ぐ構造そのものが合わない場合は、同じゼンハイザーでもイヤーカフ型のゼンハイザー ACCENTUM Clipのような別方式を検討する選択肢もあります。
ANCの性能を数値で比較できるデータがない
ハイブリッド・アダプティブANCという方式は公表されていますが、遮音量をdBなどの数値で示したデータは発表時点では公開されていません。前作からANC性能がどの程度変わったのかを、スペックだけで判断することはできない状態です。
発売直後で実売価格や在庫の動きが読めない
2026年9月3日発売のため、執筆時点では実売価格の推移や各カラーの供給状況が分かりません。公式ストア限定色として案内されているデニムとラベンダーについても、一般流通での扱いは未知数です。急ぎでなければ、発売後しばらく様子を見てから判断するのも一つの方法です。
まとめ
MOMENTUM True Wireless 5は、7mm TrueResponseドライバー、Bluetooth 6.0、aptX Lossless対応、ハイブリッド・アダプティブANC、Dolby Atmos対応、本体最大12時間・ケース込み最大40時間のバッテリー、IP54の防塵防滴を備えた完全ワイヤレスイヤホンです。前作MOMENTUM True Wireless 4からは、ANCオフ時の再生時間、ケース込みの総再生時間、ケース重量、そしてバッテリー交換への対応が改善点にあたります。
充電の頻度を減らしたい人、ケースを持ち歩く時間が長い人、そして製品を数年単位で使い続けたい人にとっては、世代間の差が実用面で効いてくる構成です。aptX Losslessまでカバーするコーデック対応も、送出側の環境が整っている人には選択の理由になります。
一方で、ANCオン時の公称再生時間は前作より短く、公式スペック表からLC3の記載が外れている点、そして価格が49,940円と高めである点は、購入前に確認しておきたい部分です。ANCの実効性能や実際の音質については発表時点で数値データや実機レビューが揃っておらず、総合的な評価を下すには発売後の情報を待つ必要があります。
特に、前作MOMENTUM True Wireless 4のサウンドを気に入っていてバッテリーの持ちに不満があった人、ANCをオフにして使う時間が長い人、そして買い替えサイクルを長くしたい人におすすめです。ANCの常時使用が前提であったり、コストを優先したい場合は、Sony WF-1000XM6やJBL Tour Pro 3なども含めて、発売後の実機レビューを確認したうえで判断するのが確実です。
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